頭皮の毛嚢炎の原因と症状は?治し方・市販薬から予防のコツまでわかりやすく解説
シャンプー中や髪を分けたとき、頭皮に赤いぶつぶつや白い膿を持ったできものを見つけることがあります。「これは毛嚢炎だろうか」「ニキビとどう違うのか」と迷う方もいるでしょう。頭皮の毛嚢炎は毛穴の奥で起こる身近な炎症で、多くは軽いものですが、関わる菌によって向く対処が変わります。
この記事では、頭皮の毛嚢炎とはどんな状態かをまず押さえ、細菌性と真菌性の原因や症状の見た目、ニキビや粉瘤との見分け方を整理します。市販薬で対応できる範囲や皮膚科で使われる薬、予防のコツも順に確認します。抜け毛との関係まで見ていき、自分の頭皮の状態を確かめる手がかりとして役立ててください。
目次
頭皮の毛嚢炎とは?毛穴の奥に起こる炎症
頭皮に赤いぶつぶつができると、それが何なのか名前がわからず不安になりがちです。まず、頭皮の毛嚢炎がどのような状態かを押さえましょう。毛嚢炎は毛穴の奥にある毛包に菌が入って炎症を起こした状態を指します。
毛嚢炎の読み方と毛包炎・毛のう炎の表記
毛嚢炎は「もうのうえん」と読みます。同じ状態を指す言葉として毛包炎(もうほうえん)や毛のう炎という表記も使われ、病院や解説によって書き方が変わることがあります。どれも毛穴の奥にある毛包という組織で炎症が起きている点は同じで、意味に違いはありません。
医療機関では毛包炎と書かれることが多く、市販薬やインターネット上では毛嚢炎という表記もよく見られます。表記が違っても別の病気というわけではないため、読むときに混乱しないように押さえておくとよいでしょう。
毛嚢炎(もうのうえん)・毛包炎(もうほうえん)・毛のう炎は、いずれも毛穴の奥の毛包に起こる炎症を指す同じ言葉です。本記事では一般によく使われる「毛嚢炎」を中心に表記します。
毛嚢炎は後頭部など頭皮のどこにでもできる
頭皮には無数の毛穴があるため、毛嚢炎は前頭部の生え際から頭頂部・後頭部・襟足まで、どこにでもできる可能性があります。とくに汗や皮脂がこもりやすい後頭部や、帽子やヘルメットが当たる部分は、蒸れて毛穴に負担がかかりやすい場所です。
髪に覆われて自分では見えにくいため、触れて初めて気づいたり、シャンプーのときに膿を感じて気づいたりすることが少なくありません。一つだけできることもあれば、数個がまとまってできることもあります。
⇒毛嚢炎は毛穴の奥の毛包に菌が入って起こる炎症で、毛包炎や毛のう炎も同じものを指し、頭皮では後頭部から生え際までどこにでもできる
頭皮に毛嚢炎ができる原因は?毛穴の傷や蒸れから菌が入る
頭皮の毛嚢炎は、毛穴についた小さな傷や、汗や皮脂による蒸れをきっかけに、菌が毛包へ入り込んで炎症を起こします。関わる菌には大きく分けて細菌によるものとカビ(真菌)によるものの二種類があり、どちらが原因かで治し方が変わります。この章では、原因菌の違いと、毛嚢炎ができやすい背景を整理します。
頭皮に多い黄色ブドウ球菌などの細菌による毛嚢炎
もっとも一般的な毛嚢炎は、黄色ブドウ球菌などの細菌が毛穴に入って起こる細菌性のものです。黄色ブドウ球菌は皮膚の表面にいる身近な菌で、ふだんは問題を起こしませんが、掻き傷やカミソリ負け・蒸れなどで毛穴のバリアがゆらいだときに毛包へ入り込み、炎症を起こします。
細菌性の毛嚢炎は、赤いぶつぶつの中心に白や黄色っぽい膿を持つのが特徴です。汗をかきやすい季節や、頭皮を掻いてしまったあとにできやすく、軽いものは清潔を保つうちに落ち着くこともあります。
頭皮に多いカビの一種マラセチアによる真菌性の毛嚢炎
もう一つの原因が、カビの一種であるマラセチアという真菌が関わる毛嚢炎です。マラセチアはもともと頭皮に住んでいる常在菌で、外から侵入してくるわけではありません。皮脂を栄養にして増えるため、皮脂の分泌が多い頭皮で数が増えすぎると、毛包で炎症を起こすことがあります。
細菌性の毛嚢炎は傷や蒸れから「菌が入る」状態、真菌性の毛嚢炎はもともといるマラセチアが「増えすぎる」状態と分けて考えると、原因の違いが整理しやすくなります。マラセチアが関わるものはマラセチア毛包炎と呼ばれ、次の章でくわしく扱います。
毛嚢炎になりやすい人は?ストレスや汗・皮脂の影響
同じ生活をしていても、毛嚢炎ができやすい人とそうでない人がいます。背景には、皮脂の分泌が多い・汗をかきやすい・頭皮を掻く癖があるといった、毛穴に負担がかかりやすい要因が関わります。ストレスや睡眠不足が続くと、皮脂の分泌やバリア機能が乱れ、菌が増えやすい状態になると考えられています。
帽子やヘルメットで長時間蒸れる・汗をかいたまま放置する・洗浄が不十分で皮脂が残るといった習慣も後押しになります。体調や生活の乱れが重なったときにできやすいのは、こうした頭皮環境の変化が関わっているためです。
→ 横にスクロールできます
| 原因のタイプ | 関わる菌 | 手がかりになる特徴 |
|---|---|---|
| 細菌性の毛嚢炎 | 黄色ブドウ球菌など | 傷や蒸れから入り膿を持ちやすい |
| 真菌性の毛嚢炎 | 常在菌のマラセチア | 皮脂が多いと増えて起こる |
| できやすい背景 | 汗・皮脂・掻き癖 | ストレスや蒸れ・睡眠不足が後押し |
⇒頭皮の毛嚢炎は傷や蒸れから黄色ブドウ球菌などが入る細菌性と、常在菌マラセチアが増えすぎる真菌性に分かれ、汗や皮脂・ストレスが後押しする
マラセチア毛包炎とは頭皮にできる真菌性の毛嚢炎
マラセチア毛包炎は、前の章で触れたマラセチアという真菌が関わって起こる、真菌性の毛嚢炎です。細菌性の毛嚢炎と見た目が似ているため混同されやすいものの、関わる菌が違うため治し方も変わるのが大切なポイントです。なお、マラセチア毛包炎は頭皮だけでなく胸や背中・肩・生え際など皮脂の多い部位にもできますが、本記事では頭皮にできるものを中心に扱います。
マラセチア毛包炎は皮脂の多い頭皮や生え際にできやすい
マラセチアは皮脂を栄養にして増えるため、マラセチア毛包炎は皮脂の分泌がさかんな場所にできやすい傾向があります。頭皮のなかでも生え際や頭頂部、汗と皮脂がこもりやすい部分に、赤みの少ない小さなぶつぶつが数多くまとまって現れることがあります。
細菌性の毛嚢炎が一つひとつ大きめの膿を持ちやすいのに対し、マラセチア毛包炎は同じくらいの大きさのぶつぶつが均一に散らばるように出るのが手がかりです。かゆみを伴うことも多く、汗をかく季節に悪化しやすいとされています。
同じ大きさの小さなぶつぶつが数多く散らばる。皮脂の多い生え際や頭頂部に出やすく、かゆみを伴うことがある。
細菌性は一つが大きめで白や黄色の膿を持ちやすい。マラセチア毛包炎は数が多く均一に散らばる傾向がある。
マラセチア毛包炎の治し方は抗真菌薬とシャンプーの見直し
マラセチア毛包炎は真菌が関わるため、細菌をおさえる抗生物質では十分に落ち着かないことがあります。治療では、マラセチアの増殖をおさえる抗真菌薬の塗り薬や、皮膚科で処方される抗真菌成分のシャンプーを使い、あわせて皮脂がこもらないよう洗い方を見直すのが基本の考え方です。
自己判断で細菌向けの薬を使い続けても改善しにくいことがあるため、細菌性か真菌性かの見きわめが治療の分かれ道になります。予防のためのシャンプー選びは後の章(頭皮の毛嚢炎を予防する方法)で扱い、ここでは治療の軸として抗真菌のケアがあることを押さえておきましょう。
⇒マラセチア毛包炎は皮脂の多い頭皮や生え際にできる真菌性の毛嚢炎で、細菌性とは治し方が異なり抗真菌薬とシャンプーの見直しが軸になる
頭皮にできた毛嚢炎の症状と見た目
頭皮の毛嚢炎は、赤いぶつぶつ・白い膿を持った小さな盛り上がり・毛穴の周りの発疹・かさぶたが基本的な見た目です。この基本の姿を押さえたうえで、痛みやかゆみ・しこりの大きさ・色の順に見ていくと、状態の進み具合を確かめやすくなります。
頭皮の毛嚢炎が痛いときとかゆいときの違い
毛嚢炎の痛みやかゆみは、炎症の性質を映す手がかりになります。押すとズキッと痛む・触れると痛いという場合は、細菌による炎症が強めに出ていることが多く、膿や腫れを伴いやすい状態です。頭皮は下に硬い頭蓋骨があって腫れの逃げ場が少ないため、ほかの部位より痛みを感じやすいといわれます。
一方、痛みよりかゆみが目立つ場合は、マラセチアが関わる真菌性の毛嚢炎のことがあります。かゆくて掻いてしまうと、その刺激で炎症が広がったり、掻き傷から別の菌が入ったりして悪化しやすくなります。痛いのかかゆいのかは、原因菌を考えるうえでの入口になります。
頭皮の毛嚢炎のしこりが大きいときはせつ(おでき)の可能性
毛嚢炎の炎症が毛包の深いところまで及ぶと、赤く硬いしこりとなって腫れ、強い痛みを伴うことがあります。こうして炎症が深く広がったものはせつ(おでき)と呼ばれ、さらに複数の毛穴にまたがって大きく腫れたものはよう(癰)と呼ばれます。
しこりが大きくズキズキ痛む・熱を持つ・押すと膿が出るといった場合は、浅い毛嚢炎より炎症が進んだサインです。無理に潰すと悪化しやすいため、大きなしこりや強い痛みがあるときは、自分で処置せず状態を確かめてもらうのが安心につながります。
頭皮の毛嚢炎の色が白いときと赤いときの状態
毛嚢炎の色は、炎症の進み具合の目安になります。中心が白や黄色っぽく見えるのは、毛穴に膿がたまっているサインで、細菌性の毛嚢炎でよく見られます。周囲まで赤みが強い場合は、炎症が周りの皮膚に広がっている状態と考えられます。
表面がかさぶたになっているときは、炎症が落ち着きに向かう過程のこともあれば、掻いた刺激の跡のこともあります。色や表面の様子は、いま炎症がどの段階にあるかを大まかに映す手がかりになります。
→ 横にスクロールできます
| 症状の特徴 | 考えられる状態 | 手がかり |
|---|---|---|
| 押すと痛い・膿む | 細菌性の炎症が強め | 腫れや膿を伴いやすい |
| かゆみが目立つ | マラセチアが関わる真菌性 | 掻くと広がりやすい |
| 大きく硬いしこり | せつ(おでき)の可能性 | 自分で潰さない |
| 白い膿・赤み・かさぶた | 膿・炎症・治りかけの目安 | 色で段階を確かめる |
⇒頭皮の毛嚢炎は赤いぶつぶつや白い膿が基本の見た目で、痛み・かゆみ・しこりの大きさ・色から状態の進み具合の手がかりがつかめる
頭皮の毛嚢炎とよく似た皮膚の病気の見分け方
頭皮の毛嚢炎は、ニキビ・粉瘤・脂漏性皮膚炎など、見た目のよく似た皮膚の状態と間違われやすいものです。この章では、膿の芯や袋の有無・広がり方といった手がかりから、似た状態との違いを整理します。自分で病名を決めるためではなく、受診時に伝えやすくすることが目的です。
毛嚢炎と頭皮ニキビの違い
細菌性の毛嚢炎と頭皮ニキビは、始まり方に違いがあります。どちらも赤いぶつぶつや白い膿として現れ、見た目だけでは区別が難しいことが少なくありません。ニキビは毛穴に皮脂や角質が詰まってアクネ菌が増えることで起こり、毛嚢炎は毛穴に細菌が入って炎症を起こす点に違いがあります。
実際には両者が混在することもあり、厳密な区別は見た目だけでは難しいものです。頭皮ニキビそのものの原因やケアは専用の解説にゆずるため、詳しくは頭皮ニキビの原因と見分け方を参考にしてください。
マラセチア毛包炎とニキビは自分で見分けられる?
カビが関わるマラセチア毛包炎とニキビは、自分で見分けられるのでしょうか。マラセチア毛包炎は同じ大きさの小さなぶつぶつが数多く均一に散らばるのに対し、ニキビは大きさや進み具合がまちまちで、白い芯を持つものが混じりやすい傾向があります。
とはいえ、この二つは見た目がよく似ていて、自分だけで確実に見分けるのは簡単ではありません。ニキビとして市販薬でケアしても改善しない・かゆみを伴って数多く散らばるといった場合は、真菌が関わっている可能性を考えて確かめてもらうと判断しやすくなります。
頭皮の毛嚢炎と粉瘤の違い
粉瘤(アテローム)は、皮膚の下に袋状の構造ができ、その中に角質や皮脂がたまっていくできものです。毛嚢炎が毛穴の炎症であるのに対し、粉瘤は袋そのものが残るため、自然には消えにくく、コリコリと硬いしこりとして触れるのが違いです。炎症を起こすと赤く腫れて痛むため、そのときは毛嚢炎と見分けにくくなります。
しこりが硬く長く残る・中央に黒い点のような開口部がある場合は、粉瘤の可能性があります。頭皮のできもの全般の見分けは頭皮のできものの種類と見分け方でも整理しているため、しこりが気になるときは参考になります。
頭皮の毛嚢炎と脂漏性皮膚炎の違い
脂漏性皮膚炎は、皮脂を好むマラセチアが関わって起こる炎症で、マラセチア毛包炎と原因菌が共通します。ただし現れ方が異なり、脂漏性皮膚炎は赤みに加えて脂っぽい大きめのフケやかゆみが、生え際や皮脂の多い部分に広がるように出るのが特徴です。毛嚢炎のように毛穴ごとのぶつぶつではなく、面として赤みやフケが広がります。
フケや赤みが広い範囲に続く場合は、毛嚢炎より脂漏性皮膚炎が近いこともあります。詳しくは頭皮湿疹が治らない原因と受診の目安で整理しています。なお、水ぶくれが集まってピリピリ痛むヘルペスとの違いは、記事末のよくある質問(頭皮の毛嚢炎とヘルペスの違いは?)で触れます。
→ 横にスクロールできます
| 似た状態 | 見た目の特徴 | 見分けの手がかり |
|---|---|---|
| 頭皮ニキビ | 赤みや白い芯・大きさまちまち | 皮脂の詰まりが始まり |
| マラセチア毛包炎 | 同じ大きさが数多く散らばる | かゆみを伴いやすい |
| 粉瘤(アテローム) | 硬いしこり・中央に黒い点 | 袋が残り消えにくい |
| 脂漏性皮膚炎 | 脂っぽいフケと赤みが広がる | 面として広がる |
⇒頭皮の毛嚢炎はニキビ・粉瘤・脂漏性皮膚炎と見た目が似るが、膿の芯や袋の有無・広がり方で当たりはつき、見分けが難しいときは確かめてもらう
頭皮の毛嚢炎の治し方
頭皮の毛嚢炎は、軽いものであれば清潔を保って刺激を避けるうちに落ち着くこともあります。ただし、長引くときや繰り返すときは原因菌に合った薬を使うことが近道です。この章では、自然に落ち着くケースから、早く治すための考え方、皮膚科で処方される薬までを整理します。
頭皮の毛嚢炎はどれくらいで治る?自然に治るケースも
浅い毛嚢炎で炎症が軽い場合は、頭皮を清潔に保ち、掻いたり潰したりせずにいると、数日から1〜2週間ほどで自然に落ち着くことが多いとされています。膿を持った小さなぶつぶつが一つだけといった軽いものは、経過を見てよいことも少なくありません。
ただし、落ち着くまでの日数には個人差があります。同じ場所に繰り返しできる・数が増える・しこりが大きくなるといった場合は、自然に任せるより手当てを考えたい段階です。長引く毛嚢炎は、原因菌が合っていない薬でケアしていることもあるため、経過を見極めることが大切です。
頭皮の毛嚢炎を早く治す方法は?
毛嚢炎を早く落ち着かせるうえで基本になるのは、患部を刺激せず清潔に保つことです。汗をかいたらやさしく洗い流す・掻かない・帽子などで蒸らしすぎないといった心がけが、炎症を長引かせない土台になります。
そのうえで早さを求めるなら、原因菌に合った薬を使うことが結局は近道です。細菌性なら抗菌の薬、真菌性なら抗真菌の薬というように、菌に合わないと十分に手助けにならないためです。自己判断で薬を選ぶより、受診して原因菌を確かめるほうが遠回りを避けられます。受診をどの段階で考えるかは、後の章(頭皮の毛嚢炎で病院に行くべきケース)で扱います。
皮膚科で処方される毛嚢炎の薬は抗生物質の塗り薬や飲み薬など
皮膚科では、毛嚢炎の状態や原因菌に応じて薬が選ばれます。細菌性の毛嚢炎には、抗生物質の塗り薬としてゲンタシンなど、炎症が強いときには医師の判断でリンデロンなどのステロイドを組み合わせた薬、炎症が広い・深いときには抗生物質の飲み薬が使われることがあります。真菌性のマラセチア毛包炎には、ニゾラールなどの抗真菌薬が用いられます。
ここで挙げた薬はあくまで処方薬の一例で、どの薬が合うかは診察した医師が判断します。市販薬で様子を見ても変わらないときや、原因菌がはっきりしないときは、こうした処方薬による治療が選択肢になります。
→ 横にスクロールできます
| タイプ | 使われる薬の例 | 考え方 |
|---|---|---|
| 細菌性(塗り薬) | ゲンタシンなどの抗生物質 | 軽い炎症に用いられる |
| 細菌性(飲み薬) | 抗生物質の内服 | 広い・深い炎症に検討 |
| 真菌性 | ニゾラールなどの抗真菌薬 | マラセチア毛包炎に用いる |
頭皮の毛嚢炎は潰して膿を出すと悪化する?
白い膿が見えると、つい指や爪で押し出したくなります。しかし、自分で潰す行為は、傷口から別の菌が入って二次感染を起こしたり、炎症が周囲に広がったりする原因になりやすい対処です。膿を出せば早く落ち着くように感じても、毛穴や皮膚を傷つけて治りを妨げることがあります。
無理に潰すと、炎症が治まった後も跡が残りやすくなります。とくに大きく腫れたしこりを自分で処置するのは避け、気になるときは触らずに清潔を保ち、状態が続くようなら医療機関で相談するのが安全です。
⇒軽い毛嚢炎は清潔を保つうちに自然に落ち着くことも多く、長引くときは原因菌に合う処方薬が頼りになり、潰して膿を出すのは悪化のもとになる
頭皮の毛嚢炎は市販薬で治せる?
頭皮の毛嚢炎に市販薬が使えるかどうかは、原因菌と炎症の程度によって変わります。軽い細菌性の毛嚢炎には抗菌成分の市販薬が手助けになることがある一方、真菌性やひどい炎症では市販薬だけでは対応しにくいのが実際です。この章では、市販薬の向き不向きを整理します。
頭皮の細菌性毛嚢炎に使える市販薬の選び方
市販薬の話に入る前に、まず確かめておきたいのが受診のサインです。発熱を伴う・強い痛みがある・赤みが急に広がる・広い範囲に及ぶ・長引くといったときは、市販薬で粘るより受診を優先してください。こうしたサインがない軽いものが、市販薬でのケアを考える範囲です。
軽い細菌性の毛嚢炎には、抗菌成分を含む塗り薬としてドルマイシンやテラマイシン・クロマイ-nなどがあります。いずれも抗菌成分の市販薬の一例で、順位づけできるものではありません。頭皮は髪があって塗りにくいため、患部に使えるか表示を確かめ、数日使っても変わらない・悪化するときは使用を続けず受診を検討しましょう。
マラセチア毛包炎に市販薬は効く?抗真菌薬は処方が基本
マラセチアが関わる真菌性の毛包炎には、細菌向けの抗菌成分の市販薬では十分に手助けにならないことがあります。マラセチアをおさえるには抗真菌薬が必要ですが、頭皮の毛包炎に使う抗真菌の塗り薬は、市販では手に入りにくく処方が基本です。
市販の抗真菌薬は水虫用など用途が限られ、頭皮の毛包炎に自己判断で使うのは向きません。ニキビや細菌性の毛嚢炎と思って市販薬でケアしても改善しないときは、真菌性の可能性を考えて皮膚科で確かめると治療を選びやすくなります。
頭皮の毛嚢炎にオロナインやステロイドは使っていい?
家庭にあるオロナインを毛嚢炎に使ってよいか気になる方もいます。オロナインは軽い切り傷などに使う殺菌成分の薬で、軽度の炎症に用いられることはありますが、症状に合わないと十分に役立たず、広い炎症やジュクジュクした状態には向きません。使って悪化する・変わらないときは中止しましょう。
市販のステロイド外用薬は炎症をおさえる働きがある一方、毛嚢炎のように菌が関わる炎症では、かえって菌を増やして悪化させることがあります。自己判断でのステロイドの使用は避け、菌に合った薬が必要かどうかを含めて確かめてもらうのが安全です。
→ 横にスクロールできます
| 状態 | 市販薬の向き不向き |
|---|---|
| 軽い細菌性の毛嚢炎 | 抗菌成分の塗り薬が手助けになる場合がある |
| マラセチア毛包炎(真菌性) | 抗真菌薬は処方が基本 |
| オロナイン | 軽度向き・広い炎症には向かない |
| 市販のステロイド | 自己判断は避けたい |
⇒細菌性の軽い毛嚢炎は抗菌成分の市販薬が手助けになることがある一方、マラセチア毛包炎の抗真菌薬は処方が基本で、オロナインやステロイドの自己判断は向かない
頭皮の毛嚢炎で病院に行くべきケース
頭皮の毛嚢炎の多くはセルフケアや軽い治療で落ち着きますが、なかには受診で確かめたい段階もあります。治らない・繰り返す・強い症状を伴うときは受診の目安です。なお、繰り返す・治らない毛嚢炎で気になる抜け毛のリスクについては、のちの章(頭皮の毛嚢炎で抜け毛は増える?)で扱います。この章では受診を考えるサインと相談先を整理します。
頭皮の毛嚢炎が治らない・繰り返すときは原因菌の検査を
セルフケアや市販薬を続けても治らない・同じ場所に繰り返すという場合は、原因菌と対処が合っていない可能性があります。細菌性だと思っていたものが真菌性のマラセチア毛包炎だった、あるいはその逆だったというケースもあり、菌に合わない薬では改善しにくいためです。
皮膚科では、必要に応じて膿や皮膚を調べて原因菌を確かめる検査を行い、細菌性か真菌性かに応じた薬を選びます。繰り返す毛嚢炎は、原因菌をはっきりさせることが、遠回りを避けることにつながります。
毛嚢炎は何科?皮膚科や頭皮の専門クリニックへ
頭皮の毛嚢炎を相談するなら、まず皮膚科が基本の窓口です。皮膚科では、毛嚢炎かどうかの見分けや原因菌の確認、状態に合った薬の処方を受けられます。しこりが大きい・膿がたまって切開が必要といったときも、皮膚科で処置を相談できます。
毛嚢炎を繰り返すなかで抜け毛や薄毛も気になるという場合は、頭皮の状態を専門に診るクリニックも相談先の選択肢になります。皮膚の炎症そのものは皮膚科で、頭皮環境や薄毛の不安は頭皮の専門クリニックでというように、気になる中心に合わせて選ぶとよいでしょう。
- 市販薬やセルフケアを続けても治らない・繰り返す
- 発熱や強い痛みを伴う・赤みが急に広がる
- 大きく硬いしこりになる・膿が多い
- 毛嚢炎とともに抜け毛や薄毛も気になる
⇒治らない・繰り返す毛嚢炎は原因菌の検査が要る段階で、皮膚科や頭皮の専門クリニックが相談先になり、抜け毛のリスクは次の章で扱う
頭皮の毛嚢炎を予防する方法
頭皮の毛嚢炎は、一度落ち着いても毛穴に負担がかかる習慣が続くと再発しやすいものです。予防の基本は、皮脂や汗をためすぎず洗いすぎもしない、ちょうどよい清潔を保つことにあります。この章では、シャンプー選びや洗い方・自己処理・生活の習慣という角度から予防のコツを整理します。
頭皮の毛嚢炎を防ぐシャンプーの選び方と洗い方
予防のためのシャンプーは、皮脂を取りすぎず頭皮にやさしいものを、毎日の洗髪でむらなく使うことが基本です。皮脂やマラセチアが気になる場合の予防用として、コラージュフルフルやミコナゾール配合シャンプーなどが選ばれることがあります。これらは日常のケア用で、治療目的の抗真菌薬とは位置づけが異なります。治療として抗真菌のシャンプーを使う場合は、前の章(マラセチア毛包炎とは頭皮にできる真菌性の毛嚢炎)で触れたとおり皮膚科で相談するのが基本です。
洗い方は、爪を立てずに指の腹でやさしく洗い、すすぎ残しを残さないことがポイントです。整髪料や皮脂が毛穴に残ると炎症のもとになるため、生え際や襟足まで丁寧に流しましょう。
頭皮の洗いすぎは毛嚢炎の予防にならない?正しい清潔の保ち方
清潔にしようとして一日に何度も洗ったり、洗浄力の強いシャンプーでゴシゴシ洗ったりすると、かえって皮脂を取りすぎて頭皮のバリアが乱れ、菌が増えやすくなることがあります。予防のための清潔は「取りすぎない」ことも同じくらい大切です。
基本は一日一回、ぬるめのお湯でやさしく洗うことを目安にします。汗をかいたときは洗い流してよいものの、そのたびに強く洗う必要はありません。皮脂をためすぎず取りすぎずのバランスが、毛穴に負担をかけない清潔の保ち方になります。
- 指の腹でやさしく洗いすすぎ残しを残さない
- 洗うのは基本一日一回・ぬるめのお湯にする
- 汗をかいたら放置せずやさしく流す
- 整髪料や皮脂を生え際・襟足まで丁寧に落とす
カミソリなど自己処理のときに頭皮の毛嚢炎を防ぐ剃り方
生え際やうなじをカミソリで整えると、刃が毛穴を傷つけて細菌が入りやすくなり、毛嚢炎のきっかけになることがあります。自己処理をするときは、清潔な刃を使い、シェービング剤で肌をすべらせ、毛の流れに沿ってやさしく剃るのが基本です。
同じ場所を何度も往復して剃ると刺激が強くなるため、力を入れずに一方向で整えるようにします。剃ったあとは清潔を保ち、蒸れないようにすると、毛穴の負担を減らせます。深剃りや逆剃りは避けたい剃り方です。
頭皮の毛嚢炎の再発対策になる入浴や保湿の習慣
汗や皮脂をためこまない生活の習慣も、再発対策として役立ちます。入浴で一日の汗や皮脂を洗い流し、湯船で体を温めて血行を整えることは、頭皮環境を保つ土台になります。睡眠や食事を整え、皮脂の分泌が乱れにくい状態をつくることも予防につながります。
乾燥しやすい頭皮では、洗いすぎを控えたうえで頭皮用の保湿を取り入れると、バリアを保ちやすくなります。汗をかいたまま長時間過ごさない・帽子で蒸らしすぎないといった小さな心がけの積み重ねが、毛嚢炎を繰り返さない頭皮につながります。
⇒予防は洗いすぎない範囲で清潔を保ち、自己処理の剃り方や入浴・保湿の習慣で毛穴の負担を減らすことが軸になる
頭皮の毛嚢炎で抜け毛は増える?瘢痕性脱毛のリスク
頭皮に毛嚢炎ができると、「このまま抜け毛が増えるのでは」と心配になる方は少なくありません。結論からいえば、軽い毛嚢炎による抜け毛は一時的なことが多いものの、繰り返して炎症が深くなると注意したい変化もあります。この章では、抜け毛との関係と瘢痕性脱毛のリスクを整理します。
頭皮の毛嚢炎による抜け毛は一時的なことが多い
毛嚢炎で毛穴に炎症が起きると、その部分の髪が一時的に抜けやすくなることがあります。ただし、浅い炎症であれば毛包そのものは残っているため、炎症が落ち着けば再び髪が生えてくることが多いとされています。軽い毛嚢炎による抜け毛は、過度に心配しすぎる必要はありません。
一方で、抜け毛が広い範囲で続く・毛嚢炎とは別に薄毛が進んでいる気がするという場合は、AGAなど別の原因が関わっていることもあります。抜け毛の本数や原因が気になる方は、抜け毛が多い原因と正常な本数も参考になります。
頭皮の毛嚢炎を繰り返すと瘢痕性脱毛につながるおそれ
注意したいのは、深い炎症を繰り返す毛嚢炎です。炎症が毛包の奥まで及んで組織が傷つくと、その部分が瘢痕(はんこん)として硬くなり、毛包が壊れて髪が生えにくくなることがあります。これは瘢痕性脱毛と呼ばれ、いったん瘢痕になった部分は自然に元に戻りにくいのが特徴です。
だからこそ、毛嚢炎を繰り返す前に炎症をしっかり鎮めておくことが大切です。同じ場所に何度もできる・大きなしこりを繰り返すといった場合は、瘢痕として残る前に原因菌を確かめ、適した治療につなげておくと安心につながります。
瘢痕性脱毛は、いったん毛包が壊れると自然には元に戻りにくいのが難しいところです。同じ場所に繰り返す・大きなしこりになるといった段階が、瘢痕になる前に炎症を鎮めておく分かれ目になります。
⇒毛嚢炎による抜け毛は一時的なことが多いが、繰り返して深い炎症になると瘢痕性脱毛につながるおそれがあり、繰り返す前に炎症を鎮めることが大切になる
頭皮の毛嚢炎に関するよくある質問
ここでは、頭皮の毛嚢炎について相談前に確認しておきたい疑問にお答えします。
Q頭皮の毛嚢炎やマラセチア毛包炎は人にうつる?
頭皮の毛嚢炎は、基本的に人から人へうつる病気ではありません。原因となる黄色ブドウ球菌やマラセチアは、もともと多くの人の皮膚にいる身近な菌で、毛嚢炎はその人自身の毛穴で炎症が起きた状態だからです。タオルや枕を共有したからといって、そのままうつるものではないと考えられています。
ただし、掻き壊してジュクジュクした部分に触れた手で別の場所を触ると、自分の体の中で炎症が広がることはあります。共用のタオルやカミソリは清潔に保ち、患部を掻いた手はよく洗っておくとよいでしょう。
Q頭皮の毛嚢炎の跡や色素沈着は消える?
軽い毛嚢炎の跡や色素沈着は、時間の経過とともに目立たなくなっていくことが多いとされています。炎症が落ち着いたあとに一時的に茶色っぽく残る色素沈着も、肌の生まれ変わりに合わせて薄れていくことが少なくありません。
一方で、深く炎症を起こした・繰り返し掻き壊した・無理に潰したといった場合は、跡が残りやすくなります。跡を残さないためにも、潰さず刺激を避けて炎症を早めに落ち着かせることが大切です。跡が硬いしこりとして長く残るときは、一度確かめてもらうとよいでしょう。
Q頭皮の毛嚢炎で頭痛や熱が出ることはある?
一般的な軽い毛嚢炎で、頭痛や発熱が起こることはあまりありません。多くは毛穴の局所的な炎症にとどまるためです。ただし、炎症が深く広がってせつ(おでき)やよう(癰)に進んだ場合や、範囲が広い場合には、痛みが強まり発熱を伴うことがあります。
発熱や強い痛みを伴う・赤く腫れた範囲が広がるといったときは、炎症が進んでいるサインです。市販薬で様子を見続けず、早めに受診して状態を確かめるのが安心につながります。
Q頭皮の毛嚢炎とヘルペスの違いは?
毛嚢炎とヘルペスは、原因も見た目も異なります。毛嚢炎は毛穴に細菌や真菌が関わって起こる炎症で、毛穴に一致した赤いぶつぶつや膿として現れます。一方ヘルペスはウイルスによる感染で、小さな水ぶくれが群れて集まり、ピリピリ・チクチクとした痛みを伴うのが特徴です。
水ぶくれが集まる・強くピリピリ痛む・繰り返し同じ場所に出るといった場合は、ヘルペスの可能性も考えられます。見た目だけで自己判断するのは難しいため、気になるときは皮膚科で確かめてもらうとよいでしょう。
頭皮の毛嚢炎は、毛穴の奥に細菌やカビの一種マラセチアが関わって起こる身近な炎症で、多くは軽く、清潔を保つうちに落ち着いていくものです。赤いぶつぶつや白い膿・しこり・色といった症状や、細菌性か真菌性かの原因菌によって向く対処が変わるため、まず自分の毛嚢炎がどのタイプかを確かめることが対処の出発点になります。
軽いものは市販薬でのケアも考えられますが、治らない・繰り返す・強い症状を伴うときは、原因菌を確かめて適した治療につなげるのが近道です。予防は洗いすぎない清潔と毛穴に負担をかけない習慣が基本になり、繰り返す炎症は瘢痕性脱毛を避けるためにも早めに鎮めておきたいところです。頭皮の状態や抜け毛の不安が気になる方は、下記の無料相談もご活用ください。
頭皮の毛嚢炎を繰り返す・抜け毛や薄毛もあわせて気になるという方は、B&Hメディカルクリニックの無料頭皮診断とオンライン診療をご利用いただけます。皮膚の症状そのものは皮膚科で確認したうえで、頭皮の状態や薄毛の不安を相談する入口としてお役立てください。
- B&Hメディカルクリニック恵比寿院(東京都渋谷区)
- B&Hメディカルクリニック横浜院(神奈川県横浜市)







